オンラインカジノがギャンブルである以上、オンラインカジノでの収益もある一定のラインを超えると、その収益は課税の対象となる。
もちろん、ほとんど勝つことができず収益が発生しなかったり一定のラインに到達していないのであれば税金や確定申告の心配はしなくてもいいだろう。
しかし、オンラインカジノで遊んでいて、収益を度外視し、少なくてもいいしむしろマイナスでもいい、などというプレイヤーはおそらくいないはずである。
すべてのプレイヤーがプラス収支を目指す以上、オンラインカジノに対する税金の仕組みをしっかりと理解しておくことはオンラインカジノで遊ぶための必須知識であるといっていい。
ここでもし、「オンラインカジノで脱税ができる」とゆるく考えているプレイヤーがいるならば、税務署のしつこさを舐めすぎているので今すぐに考えを改めたほうがいいだろう。
少しばかり硬い話にはなってしまうが、一度慣れてしまえばオンラインカジノの税金計算や確定申告はそれほど面倒ではない。オンラインカジノで楽しく遊ぶための最初の壁だと割り切って基本を知っていこう。
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オンラインカジノの利益は一時取得に分類される
オンラインカジノで発生した利益は「一時所得」に分類される。なので、ひとまずは「50万円」という数字を覚えておくのがいいだろう。
オンラインカジノが「一時所得」になるという点は、パチンコ、スロット、競馬、競輪などの公営ギャンブルの場合と同じである。
そのため、オンラインカジノ以外のギャンブルに慣れている諸兄であれば、オンラインカジノの「一時所得」の計算法も公営ギャンブルのそれらと同じなので、「オンラインカジノ用の税金の知識」は必要ではない。
50万円というラインで発生する一時所得の義務
もし1年間(1月~12月)の利益(一時所得)が50万円以下であったならば税金はかからないし、50万円を少しでも上回ったのなら税金が発生し、確定申告をしなければならない、というのが「一時所得」の基本である。
この合算で「50万円」をラインとして税金が発生する一時所得は、「勝ち分-賭け金=利益」によって計算する。
なお、この「一時所得」の計算のために必要なのは「勝った勝負」だけである。
賭け金が収益を上回り「損失」が発生した場合、「負けた勝負」の場合に動いた金については、「一年間の合計」のための計算に参加させなくてもよい。
一時所得の計算は勝った勝負の合算のみで行う
税金のための賭け金(支出)と勝ち分(収入)の計算は、勝負に勝った日のものだけを記録し、1年分の合計を算出し、「50万円」以上になったならば、その数字から「特別控除額」の50万円を引いたものが「一時所得」ということになる。
「一時所得」からさらに「課税対象額」を算出する必要がある。「課税対象額」は、「一時所得」の半分である。この「課税対象額」が、実際に発生する税金(最終的に所得税の合計に追加される税金)となる。
「所得+一時所得-各種控除金」のイコールが最終的な「所得税」となる。「所得税」は、年収や控除金などの多寡によって税金の金額が変動するため、固定した額を示すことができない。個人個人でそれぞれに利益の計算を出さなければならない所以である。
50万円のラインは職業的な立場によって意味が変わる
「50万円」というラインは、あくまで個人事業主などの所得税の場合での「確定申告」のラインであり、「サラリーマン」や「アルバイト」、また「無職」「扶養者」「配偶者」などの職業的立場の違いによって「一時所得」の確定申告の必要性や最低ラインは変動する。
しかし、確定申告の最低のラインが変動するというだけであり、基本的な計算は先ほどの「50万円」のときと同じなので、それぞれの最低ラインに、それぞれの立場で申請している控除額などを差し引きし、最終的な税金の計算をすればよい。
あくまで「税金が発生するのは50万円から」であると単純化し、おおざっぱに理解し、細かい違いなどはあまり考えないほうがよいかもしれない。
サラリーマンやバイトは確定申告の最低ラインが変わる
たとえば、サラリーマンやアルバイトの場合、「50万円」が「一時所得」の最低ライン(税金が発生するライン)であることには変わりがないが「確定申告をしなければならない最低ライン」は「90万円」になる。
しかし、この「90万円」という最低ラインは、結局のところ、それほど覚えなくてもいい数字、「気にしないほうがいい小さな差」でしかないかもしれない。
確定申告をとるか住民税の申告をとるかの違いでしかない
なぜなら、「一時所得が50万円~90万円」のあいだで確定申告(国への申告)をしなかった場合、その代わりに「住民税の申告(地域、市区町村への申告)」をする必要があるからで、どうせ申告が必要なのであれば、はじめ(50万円を超えた段階)から確定申告をしておくに越したことはない。
なので、サラリーマン、アルバイトの場合も、やはり覚えておくべきなのは、税金が発生する「50万円」という最低ラインであり、それを超えた場合は確定申告をサボらない、そのくらいの手間はとってもいいのではないか、というのが筆者の考えだ(もちろん、個々人で判断していただくしかないが)。
無職に許された収益146万円という最低ラインについて
「オンラインカジノだけで暮らしていて、それ以外の収入がまったくない無職」というのはあまり考えられない存在ではあるが、そのようなパーフェクトな無職のオンラインカジノプレイヤーが存在する場合、「146万円」を上回るまでは申告の必要がない。
無職の場合、特別控除を差し引いた収入が48万円までであれば、確定申告の必要がない。
「146万円」という数字がどのように導き出されるかは、個人事業主のときと同じで「課税対象額」を算出する流れで計算をする。
つまり、{146万円(オンラインカジノの利益)-50万円(特別控除額)}÷2(課税対象額算出のための率)=48万円というわけだ。
しかし、この数字はあまり覚えても意味がないだろう。完全な失業者になったとして、果たしてオンラインカジノで遊ぶ余裕があるのかどうか、ぜひとも考えてほしいものである。
無職には厳しい言葉になってしまうが、この「146万円」の算出は、「机上の空論」といったほうがよい、雲をつかむような話だ。
扶養家族における146万円というラインは無職よりは現実的
しかし、この「146万円」は扶養家族であればある程度の現実性を帯びたものになってくる、「可能な数字」になりうる。なぜなら、扶養家族は、他に頼るものがない完全無職よりはある程度の余裕があるからである。
計算式は先ほどの無職とほぼ同じであるため、割愛するが、もし扶養された状態で、パートやアルバイトなどの収入をしている場合は、その労働による「所得48万円」と、オンラインカジノの「一時所得」の組み合わせで考えていかなければならないため、「146万円」という固定した金額では税金のことを計算することはできない。
扶養家族であることで現実性を帯びてくる「146万円」の申告ラインではあるが、いくら現実性があるとはいえ、扶養家族が「所得48万円」を超えたときに起こることを知れば、結局のところは、オンラインカジノでその所得を超えてしまうことにはあまりメリットがないと言わざるを得ない。
所得48万円の壁を超えた利益は扶養している側に迷惑をかける
メリットがないのは、扶養されている側ではなく、扶養している側である。「所得48万円」の壁を越えてオンラインカジノの収益を得た場合、扶養してくれている家族の税金が高くなる、ということを考えなければならない。
もちろん、「所得48万円」の壁の内側でオンラインカジノを遊ぶ分には問題がないが、それを超えた場合、扶養してもらっている家族に迷惑をかけることになる。
「所得48万円の壁」を労働で越えようがオンラインカジノで越えようが同じだ、と割り切ってしまうことができるなら話が別だが、扶養してくれている家族の税金が何によって増えてしまうかをある程度は考えるのが扶養されている側の最低限の倫理ではないか、と筆者は考えるが、これももちろん、人それぞれの判断で構わない。
オンラインカジノの収益を確定申告する簡単な流れ
確定申告の最低ラインを把握したならば、残されているのは実際の確定申告の手続きだけである。最後に、オンラインカジノでの収益を確定申告する流れをザっと見ていくことにしよう。
まずは、「確定申告のための収益の計算」である。これは前述した計算式を使って、一回一回のカジノの勝ち負けを記録していき、その一年分の合算を正確に出していく作業だ。
この作業を間違えると、せっかくの収益から余分な税金が引かれる可能性があるので、コツコツと、間違いのない計算を心がけよう。
オンラインカジノの確定申告のためには、まずはこの地道な計算作業が避けられない。
ここで「面倒だな」と感じるタイプであるならば、オンラインカジノとの相性はあまりよくないかもしれない。
オンラインカジノは支払調書と領収書が出ない
続いて、確定申告の必要書類となるのだが、オンラインカジノは、基本的には支払調書も領収書も出ない、ということを念頭に置いておく必要がある。
そのため、オンラインカジノの必要書類は、自身が計算したものをもとに、青色申告へと記入する作業が必須となる。節税などのメリットも考えると、多少面倒でも白色申告ではなく、青色申告での記入をオススメしたいところだ。
そして、青色申告のために作成した記録の資料は、なるべく手元において、絶対に紛失してはいけない。仮に申告漏れなどの指摘が税務署などからあった場合、この資料が手元にない場合、不要なトラブルに巻き込まれる可能性があるため、注意が必要だ。
確定申告書に記述する際は正確に「オンラインカジノ業者」の運営会社の名前を記載すること。その記載と自分の資料が一致するようにしておけば、ほぼ滞りなく申告が完了するだろう。