ここ最近、オンラインカジノを利用した投資詐欺というものが増えているらしい。
オンラインカジノを利用した投資詐欺は「軍資金を投資金として預けてくれれば、ギャンブルのプロが代行で、オンラインカジノで勝負して勝ってくれて、その勝利金があなたに還ってきますよ」という手口で行われているという。
実際に報告されている被害や、詐欺業者が逮捕されているケースを参照すると、オンラインカジノの投資詐欺は「単語」だけが変わっているだけで、未公開株などの投資商品詐欺、副業あっせん詐欺、元本保証詐欺、代行詐欺などの基本的な投資詐欺と多くの共通点を持っている。
つまり、オンラインカジノを利用した投資詐欺というのは、古典的な投資詐欺のバリエーションの一つであり、同じ構造の最新型のものでしかないということである。
オンラインカジノを利用した投資詐欺に引っかからないためには、古典的な投資詐欺に引っかからないための基本的な姿勢を持っていれば十分だ。
そこで今回は、「投資詐欺の基本型」を説明しながら、そのバリエーションとしてオンラインカジノがどのように利用されているかを見ていき、オンラインカジノを利用した投資詐欺にあわないための基礎となる姿勢をつくっていこう。
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勧誘を警戒すればオンラインカジノの投資詐欺は避けられる
オンラインカジノの投資詐欺は、とにかく「勧誘」を警戒し、拒否してはねのける姿勢さえ持っていれば、かならずその被害から逃れられる類のものだ。
投資詐欺はとにかく「勧誘」がなければ始まらないが、それが「対面」で行われる勧誘であるか、「電話」で行われる勧誘であるか、SNSなどのDMを利用した「インターネット上のリンク」という地雷を踏むことで行われる勧誘であるかの三つに、ひとまずは大きく分類できる。
このうち、オンラインカジノを利用した投資詐欺に関しては、情報商材や未公開株などを利用した投資詐欺でメインとなる「対面」での勧誘はそれほど行われず、「電話」か「インターネット」での勧誘がメインを占めている投資詐欺である傾向が強い。
入り口として「インターネット」を利用し、投資詐欺を実践していく「説得」の段階で「電話」に移行する、あるいは、稀ではあるが対面式での説得になる、というのが基本的な流れである。
情報商材や未公開株やFXなどの投資詐欺の場合、路上で話しかけることでの囲い込みや、友人の連絡先などを利用した紹介式の勧誘などの足を使った方法がとられることもあるが、オンラインカジノを利用した投資詐欺の場合は「地雷型」のリンクがもっとも効率的である。
その点、インスタグラムで羽振りのいい暮らしぶりを見せつけ、札束の写真などを載せて勧誘へとひきずりこむ「副業詐欺」と、出会いの入り口がよく似ているのが、オンラインカジノの投資詐欺だろう。
投資詐欺の被害にあわないための最大のポイントは、とにかく「勧誘」を避けることだ。まず「勧誘」にさえあわなければ、投資被害にあうということはない。それは、オンラインカジノの投資詐欺の場合も同様である。
電話による勧誘にせよ、インターネットの地雷型のSNS投稿やウェブ記事やDMやメールなどにせよ、そこに「オンラインカジノ」という文字列があった場合はまずはとにかく警戒し、絶対にリンクを踏まない。話を聞かない。すぐにページを閉じる。ブロックをする。
まず、このような意志を強く持ってさえいれば、これらの勧誘をすぐに断ることができるだろう。シンプルで身も蓋もないが、これだけが何よりも確実な方法だ。
過去の投資詐欺の基本的なモチーフを繰り返す古典的な詐欺
現在オンラインカジノの投資詐欺と呼ばれているものは、過去にオンラインカジノ以外のモチーフで呆れるほど繰り返されてきた古典的な投資詐欺の基本形をなぞっているため、多くの共通点を持っている。
まず、投資詐欺をするためには「そのときのトレンド」といえる話題のテーマがなければならない。
少し前の投資詐欺のメインコンテンツといえば「仮想通貨」や「クラウンドファンディング」であり、さらにさかのぼると「FX」、古いものだと「先物取引」や「未公開株」などが、投資詐欺を実行するためのトレンドの「キーワード」となっていた。
オンラインカジノを利用した現在のケースは最新のトレンドとしてキーワードをオンラインカジノに設定しただけで、その方法や被害までの流れは古典的な投資詐欺とまったく同じである。
オンラインカジノを利用した投資詐欺の場合は、「ギャンブルのプロが代行してオンラインカジノで勝負し、そこで獲得された収益が投資家のあなたのもとへと還っていく。だから、あなたはお金を預けたあとは黙っていても勝手にお金が入ってくる」ということを説得し、出費させるという流れを持っている。
こういった説得は、投資詐欺の古典的な形を知っていれば「単語だけ違っていて構造は同じである」と判断して、すぐに拒否することが可能となる。
投資をうながす代行詐欺の目立った特徴としては「元本を保証する」ということを説得の根拠にしていることが挙げられるが、オンラインカジノを利用した投資詐欺の説得で使われる常套句も、まさにこの「元本保証」である。
元本保証という言葉が出てきた段階で投資的にはアウト
投資の世界においては「保証されている元本というものは原則的に絶対に存在しない」というのが基本中の基本である。
そのため、ある程度投資に慣れていて理解があれば、「元本保証」と言われた瞬間に「あ、これは詐欺だな」とピンとくるのだが、投資になじみがないと、ここで騙されるということはあるのかもしれない。
実際、オンラインカジノを利用した投資詐欺の被害にあった山口県の60代男性は、この「元本保証」という言葉をうかつにも信じたこともあって、被害にあってしまったらしい。これは「投資への無知」からくる被害だ。
「ギャンブルでしかなく投資ではないオンラインカジノ」に対して、「オンラインカジノは投資である」という風に言う人がいるくらいには「投資とは何か?」ということはあまり真剣に考えられておらず、その正確な定義を知る人は実はあまり多くはない。
投資詐欺というのはこの「投資への無知」を逆手にとって利用したものであり、オンラインカジノを利用したケースも例外ではない。
「投資とは何か?」の基礎をある程度知っていれば「元本保証」は「あ、これは投資ではないな」とすぐに判断できるのだが、オンラインカジノを利用した投資詐欺以外の被害を避けるためにも「投資とは何か?」という基礎知識を持っていることは重要だろう。
それにしても「元本が保証されるオンラインカジノの代行賭博」というのは荒唐無稽にもほどがある話じゃないだろうか。
投資における「元本」という言葉は、オンラインカジノでいうと「軍資金」のことだ。
軍資金が増えるか減るかなんてことに根拠も保証もないのが、オンラインカジノのようなギャンブルの世界だ。そこだけは、元本の行方がわからない投資の世界との数少ない共通点でもある。
オンラインカジノに限らず、すべてのギャンブルで「このギャンブルは軍資金が絶対保証されている!」などと言われたら、その異常性は明らかだろう。
オンラインカジノの投資詐欺の被害からわかってくることは、「投資への無知」と同時に「ギャンブルへの無知」も被害の原因であるという、二つの無知に対する狙い撃ちの状況ではないだろうか。
オンラインカジノを利用した投資詐欺のまとめ
- オンラインカジノ投資詐欺は過去の投資詐欺の繰り返しにすぎない
- オンラインカジノという文字列を見た瞬間に勧誘を拒否するくらいでいい
- 元本が保証されるということはギャンブルだけでなく投資の世界でもありえない
オンラインカジノを利用した投資詐欺についてまとめると以上のようになる。
オンラインカジノを利用した投資詐欺は古典的な投資詐欺である以上、投資詐欺の手口を知っており、それを回避する方法を知っていれば被害にあうということはまずない。
「投資とは何か?」という基本的な投資の知識と、「そもそもオンラインカジノは違法である」という自明の事実とを、それぞれに肝に銘じておけば「これは投資詐欺なのか?」と考える以前に、組み合わせの段階で「危険だ」と判断することも可能だ。
その点において、実際に投資をするかしないかはさておき、投資についての基礎知識を知っておくことや、オンラインカジノの違法性を知っておくことは、多くの詐欺被害を減らすためにも有効だろう。
オンラインカジノを利用した投資詐欺は、オンラインカジノというモチーフを取り入れている段階で初手からして「杜撰」であり、ガタガタの手口であるため、過去の投資詐欺と比較しても攻略はイージーなほうだ。
とはいえ、投資詐欺は投資詐欺であるのだし、どんなにあからさまでチープな詐欺であっても騙される人は騙されてしまう。
騙される人というのは往々にしてこちらの理解を超えていることも多い。自分としては、今回の記事が少しでも被害者の減少に繋がることをただただ願うばかりである。