生活を少しだけ豊かにする適切な資産運用のススメ

「投資だけで生活することは可能か?」という質問に関しては、ひとまず「可能だ」と答えることができます。

ですが「投資だけで生活することはオススメか?」という質問となりますと、私としては「あまりオススメできない」という回答になるのが正直なところです。
オススメなのは「正業を持ちつつ、余剰資産で投資をする」という方法です。

完全不労所得というのは憧れではありますが「投資以外の仕事」はできれば持っているに越したことはありません。

私自身は「投資だけでの生活」と「正業を持ちながらの投資」の二つをそれぞれ経験したうえで、最終的には後者の生活を選択し、現在は安定した資産運用プランを形成しながらの、試行錯誤の日々を過ごしています。

今回は「投資だけの生活」と「正業を持ちながらの投資」のそれぞれを経験した私なりに、なぜ「投資だけの生活」から「正業を持ちながらの投資」へと移行したのかを書いていきましょう。

投資だけで生活するために必要な最低限の資本金と利益

投資だけで生活をするためには、まず最低限の資本金として100万円以上持っていることが望ましく、その資本金を元手に、月に20万円程度の利益を出す必要があります。

とはいえ、これも、住んでいる場所などに左右される話ですので「絶対になければならない」ではなく「このくらいあれば、投資だけでの生活ができるかもしれない」という目安でしかありません。

たとえば、あなたが東京在住である場合と、地方在住である場合で、家賃や光熱費などの生活費がいくら必要か、にかなりの差額が出てくるでしょう。

それが賃貸であるのか持ち家であるのか、一人暮らしなのか家族で暮らしているのか、などでも、必要とされる資本金や利益はその環境に応じて変化していくものなので、一概に「これだけの資本金と利益があれば必ず投資だけで生活ができる」とはいえません。

そもそもが、投資というのは社会情勢や世界市場などに左右されやすいので「投資だけで生活ができる」に絶対はない、ということは、つねに意識しておく必要があります。

投資において本当に必要なのは、資本金や利益である以上に「投資に絶対はない」という不安定性の認識だといってもいいかもしれません。

そのうえで、まず100万以上は軽く必要となります。そのためには、まずは労働による貯金しかないでしょう。この時点で「投資だけで生活する」はすでに破綻しているともいえるでしょう。

投資だけで生活したい人のための単純な裏テクニック

「投資だけで生活したい」と考えている人のための一つの裏テクニックとして「地方に移住する」というものが挙げられます。

実際、私自身が投資だけで生活していた時期は「都落ち」というかたちで家賃を払う必要がない実家に住んでいた時期と重なっています。

さらに、軍資金は祖父の遺産が転がり込んで、たまたま手に入れられたものにすぎません。さきほどの「破綻」の話でいくと、一応「労働抜き」で軍資金を手に入れているので「投資だけの生活」という詭弁が使えます。

家賃や食費、光熱費などは、実家であったので両親が払っていたことを考えると、厳密には私は「投資だけで生活していた」とはとてもいえないという自覚がありますし、かなりのイージーモードで「投資だけの生活」と言っていたにすぎません。

しかし「投資だけで生活する」ということは、このくらいハードルをさげて難易度を落としてようやく可能になるようなものでしかない、ということは知っておくとよいでしょう。

それでもどうしても投資だけで生活がしたいのであれば、可能なかぎり、家賃を筆頭とした「固定費」を削減していくことを最初の出発点にするとよいでしょう。

私も、投資だけである程度の利益を出すまでは、格安SIMスマホでの通信費の削減、ATMやコンビニをなるべく使わないドケチライフを通して、なんとかかんとか資本金を作り出してはひと月ひと月をしのいでいた、といった感じで、大損こいてマイナスという月も当然ありました。

投資だけでの生活は限られた一部の人間にしかできない

「投資だけで生活ができる」というのは、限られた一握りの天才的な投機能力を持った人間のみに可能なことで、9割程度の投資家はは私と同様に長期的な視野では挫折し「正業を持ちながらの余剰資産での投資」へと移行しています。

「継続して利益を出しつづける」ということができれば、投資だけでの生活は可能です。言葉にすると簡単な話です。

しかし、その「継続して利益を出しつづける」ことができる投資家は、全体の10%にも満たないのが実態です。現実は言葉のように簡単ではないのです。

「投資だけで生活がしたい」という人は、いわゆる「億り人」などのイメージから、一攫千金で不労所得という「夢」を見がちですが、投資の現場というのはかなり地味であり、かつ、地道でもあり、成果が微々たるものである、という現実は、先に知っておくとよいでしょう。

私自身「投資だけで生活していた」とは言っていますが、莫大な金を手に入れていたわけではなくて、むしろ強いストレスを感じながら毎日のようにレートを追い、最低限生きていくために必要なわずかな利益を確保するのに必死で「正直、労働のほうが楽かもしれない」という感覚になることがしばしばでした。

投資だけで生活するために利用していた投資商品

私が、家賃を免除された状態で火の車になりつつも投資だけで生活していた時期、おもに扱っていた投資商品は「株式」と「FX」の二種類になります。

なお「正業を持ちながら余剰資金で投資する」というスタイルに移行した現在は、これに「積み立てNISA」などが追加され、現在の世界的な社会情勢の不安定さから「FX」は、すっかりやらなくなりました。

「株式とFXではどちらが儲かるのか?」と聞かれたならば「FXのほうが儲かる可能性はある」と一応は答えられますが、これはあくまでレバレッジで倍率をあげた状態で取引を成功させたらでしかなく「FXのほうが儲かる可能性はある」というのは、裏返せば「FXのほうがリスクが高いぶん、リターンも大きい」ということでしかありません。

かなり雑に単純化するならば「借金を作りやすいのがFX、原則として借金が発生しないとされているのが株式投資」と憶えておけば十分かと思います。

「投資だけで生活がしたい」という人でFXに手を出す人は、多くが「投資だけでの生活」ではなく「借金生活」になることが多く、私自身、FXでの失敗によって大きな損失を抱えた経験があり、それがまた「正業を持ちながらの投資」という安定志向のきっかけでもありました。

投資だけで生活したい人が絶対に手をつけてはいけない対象

「投資だけで生活をしたい」と考えていて、絶対に手を出してはいけない対象としては、バイナリーオプション、公営ギャンブル、オンラインカジノの三つにひとまず気をつけておくとよいでしょう。

そもそも、これらの三つは「投資商品」ではありません。

公営ギャンブルとオンラインカジノはいわずもがな「ギャンブル」ですから説明不要かと思いますが、バイナリーオプションに関しては、表面的には「投資商品」という顔をしていますが、その内実はというと「丁半博打」とほぼ同じシステムの疑似投資系ギャンブルでしかありません。

バイナリーオプション、公営ギャンブル、オンラインカジノなどを「ギャンブル」ではなく「投資」であると考えるタイプであるならば「投資だけで生活したい」という考えから離れたほうが身のためかと思います。
おそらく、そこで待っているのはキャパを超えた多額の借金生活だけでしょう。

バイナリーオプション、オンラインカジノ、公営ギャンブルなどは、投資商品ではないうえに「働かずに一攫千金」という「地道な投資」とは真逆の「でかい夢がある投資」のイメージを悪用し、刺激しているという点できわめて危険です。

投資だけで生活したいという人に読んでほしい漫画

私としては「投資だけで生活したい」ということを考えている人には、LINEマンガで無料で読むことができる『外見至上主義』の「ギャンブル騒動編」を読むことをぜひともオススメしたいと思います。

『外見至上主義』の「ギャンブル騒動編」には、直接的に「バイナリーオプション」と名指されているわけではありませんが、ほとんど仕組みがバイナリーオプションと同じ投資型スマホゲームによって、バカな高校生があっという間に借金地獄に落とされ、すべてを奪われるまでの過程がイキイキとわかりやすく描かれています。

『外見至上主義』のギャンブル騒動が、バイナリーオプションに似せた詐欺スマホゲームを通して「不労所得」という夢を喰いつぶす恐ろしさを教えてくれることのありがたさ、その役割は、かつての『ナニワ金融道』先物取引編(ギンギンギラギラ教頭編)が担っていた役割に似ており、さらに現代版です。

ここで出てくるフィクションとしてのバイナリーオプションの延長線上に、最近ではオンラインカジノが登場し、多くの「不労所得希望者」を搾取しはじめたことを読みとり、あてはめて考えていけば「投資だけで生活をしたい」という言葉とこれらの商品のあいだにはまったく関係がないどころか、むしろ、それが悪魔のささやきだけがあることがよくわかると思います。

正規の労働とわずかな投資で生活を少しだけ豊かにしよう

投資は「生活を少しだけ豊かにする」ためにわずかにすることであって「それだけで生活するため」にするべきではない、というのが私の考えです。

単純に、レートだけを気にして、その数値の増減に一喜一憂するだけの暮らしが空しいというのも「投資だけで生活をしよう」としていた時期の私の実感でもあります。

投資がいかに難しいかということは、たとえば経済学者でありかつ投資もしていたという人物で、一定の成果をあげて投機的な才能も発揮できたのが、私の知る限りではケインズただ一人くらいしか見当たらなかった、ということからも窺い知ることができます。

一流の経済学者でさえそうなのですから、投資というのはある種の適性と天性によるものが多く、知識があればどうにかなるようなものではない、ということをまずは知らなければなりません。

しかし「正業を持ちながらの余剰資産での投資」で、株式や積み立てNISAなどの基本的な知識を持ち「莫大な資産」のためではなく「すこしだけ生活を豊かにするための適切な資産運用」に集中するならば、投機的才能がない凡人であっても「投資」はかなり有効な手段となりえます。

適度な労働と適度な投資で、可もなく不可もない人生のための資産運用を始めていきましょう。